【LIVE REPORT】Royz、夏の全国ワンマンツアー『失楽園』と14周年を締めくくるライブを台風襲来の逆境に負けず開催!「後悔のないようにこの時代で“一緒に”生きていきましょう」

Royzが、SUMMER ONEMAN TOUR 『失楽園』のツアーファイナルとなる『「14th LAST LIVE」-星に決意を-』公演を8月29日、Zepp DiverCity Tokyoにて開催した。

メンバーの登場時、バックの巨大モニターにはアダムとイブを彷彿とさせる男女のシルエットや禁断の果実(リンゴ)を映し出しながら“失楽園”を強調させ、最新シングルの「VENOM」がオープニングを飾った。「VENOM」で描かれていたのは、“毒”や“仮面”といった側面から共依存を連想させる、いわゆる偏愛。なぜ、今Royzはこうしたコンセプチュアルなものを全面的にアプローチしたのか? これまでにも偏愛を模した世界観の楽曲はRoyzにも存在していて、シンプルに好まれる傾向にあるからというのも理由としては十分だが、実はここにはもっと深い意図がある。それは、楽曲がもちろんライブでこそ肌身で感じることができた、“共存”を求める執拗なまでに強い想いだった。

「やっと……やっと会えたねぇ。行くぞ東京!ようこそ『失楽園』へ!」と、昴(Vo)の渇望を込めた怪しげなニュアンスの物言いまでもがムードを作り上げる要因に。そこへ、初っ端から容赦なく「PANDEMIC」や「Foxy」といった強気なアプローチで席巻していくも、物怖じせずに一心不乱に頭を振り乱していくフロアの情景は圧巻。「ああ、これが『失楽園』ツアーでRoyzとファンとが“一緒に”築いてきた本気の熱量なのだ」と、存分に思い知らされた。

「生憎も生憎のクソ台風のせいで開催自体も危ぶまれたり、いろいろあったと思いますけども、何はともあれ今日ここに集まってくれてありがとうございます」(昴)

早々にMCで触れた通り大型台風が日本列島に上陸し、各地が暴風雨に見舞われる中での開催となったが、こういった状況下で“何が正解か”という1つの答えは出ない。その中で1つ言えることがあるならば、自ら決断したことが正解である。「“やる”と決めたからには精一杯やるだけ」と口にした思いや、「久々のZeppでできることを本当に楽しみにしてきました」という純粋な気持ちが、実際にライブにぶつけられていた。

智也(Dr)が打ち付けるドラムが序奏となり、「愛しの愛しのあなたに、愛を込めて……!」とコールしたのは激しすぎる愛情表現をもった「Killing Joke」。さらに、「お台場にはあるんですよ、何よりも楽しいアトラクションがここに!」と火にまみれたメリーゴーランドの映像がまさに会場の白熱ぶりを表していた「13th Merry-Go-Round」に加え、「Satisfy」でも日々のヘイトを吐き出していくが、激化する中でも随所にメロディアスな部分を引き立てるのがRoyzの真骨頂でもある。そして、ライブではアカペラからスタートするのが鉄板となった「クロアゲハ」だが、その冒頭の歌にも一層熱がこもっている様子で、公大(Ba)のスラップベースの臨場感と、モニターにドンと映し出されたRoyzのロゴを背負うようにしてギターソロを弾き倒す杙凪(Gt)のなんたる貫禄。その魅力をメンバー自ら称えるように、昴が杙凪に歩み寄って額にキスしたシーンも熱かった。

暗転から「ヤバイ! ここまでバリ楽しい!」と昴が高揚している気持ちを伝えたのち、場内はミラーボールと客席にRoyzスティック(ペンライト)が灯ってゴージャスな雰囲気にシフト。「丸の内ミゼラブル」から「紫苑」へと、東京を舞台に繰り広げられる女性を主人公としたせつない恋愛模様や、夢に破れて憧れの地を後にするリアリティ溢れるストーリーを見事に披露した。こうしたじっくりと聴かせるセクションの中でも一際群を抜いていたのが、Royzの研ぎ澄まされた音楽性を発揮したとも言える「月光」。冒頭に『「14th LAST LIVE」-星に決意を-』と本日の公演タイトルを映し出したのはきっと、「月光」がもがきながらも“決意”を露わにする楽曲であることに準えてのことだろう。楽曲の壮大感にバンドのグルーヴがベストマッチした形でそれを打ち出されれば、その説得力に思わず感嘆してしまったほどだ。

赤いスポットライトを受けて杙凪がギターをかき鳴らし、そこへ昴が加わるようにして歌い出した「AMON」では、「俺の声が聞こえるか!?」と曲中に熱を持って問いかけながらフロアの熱を求めていく。カオスな空間の中で観客が静かに手を掲げる神格化したシーンを交えたかと思えば、続いてなだれ込んだ「キュートアグレッション」では間に親しみやすいMCを挟みつつ、先述した偏愛ぶりを見せる楽曲の中でもキラーチューンたる威力を発揮。間に挟む「今日死んでもいいくらいのライブするね」や「もっと見せて、愛を見せて」といった昴の言葉選びも、楽曲のテイストを際立たせるには実に秀逸だった。そして、ラストスパートをかけると同時にツアータイトルに掲げた『失楽園』の本質を明確にしていく。怒涛な音の渦にまみれた中で満遍なくヘッドバンギングが広がった「阿修羅」で放った「“お前らと”後悔のないように」や、「“一緒に”生きようぜ」と誘いラストを締めくくった「RAIZIN」といった具合に、オーディエンスと共に生きる姿勢を提示。そういった今在るべき姿を見せ、これからも自分らしく在れる場所を求め続けていくことを「RAIZIN」を通して改めて確かめ合うようなエンディングだった。

本編が終了すると、映像にて新ヴィジュアルと今後のスケジュールが発表となった。これまでのMVのダイジェスト映像を通して自身2枚目となるベストアルバムのリリースや、2025年1月16日の川崎CLUB CITTA′をツアーファイナル公演とするBEST ALBUM TOUR『TRACKS #2』。さらに、2月といえば恒例となっている昴の生誕祭が今回は東京のみならず大阪でも開催されることが発表された。

アンコールでは、“#Royzに堕ちよう”というハッシュタグを用いてファンがSNSでRoyzを積極的に広めてくれたことや、この日も初めて観に来たという人もいたようにペアチケット制を活かして直にライブを体感してもらう機会を増やすなど、「みんなで広げたツアーだった」と振り返る場面もあった。ツアーファイナル公演が台風の影響を受けたことに対しても、「この状況をファンのみんなが悔しがってくれたことが嬉しかった」とも伝えていた。ある種、Royzを中心としたチーム力を高めてきたツアーでの収穫以外にも、「ヴィジュアル系というこのシーンみんなで駆け上がっていこうという熱に当てられている。みんなで伝説の時代を作り上げようと思ってます」と話していた通り、バンド仲間との交流を通して抱いている熱意も感じることができた。

「後悔のないように生きる背中を見て、あなたたちが何かを感じてくれたらいい――短い人生の中でこのメンバーとあなたらと、後悔のないようにこの時代で“一緒に”に生きていきましょう」(昴)

こうして「21st Century」をはじめ、まさしく本公演のサブタイトルにもかかる“星に誓いを”という思いを込めた「SOUTHERN X -サザンクロス-」や、「0」を披露。そして、シンガロングから始まった「GIANT KILLER」で、キャノン砲に後押しされるように“下剋上”の意思を思う存分さらけ出してエンディングを迎えたのだが、最後の最後に「GIANT KILLER」には“なぁ俺の人生の道連れになってくれないか”という、今に繋がる重要な伏線が隠されていたことに気づいたのである。

「どうか、死ぬ間際に俺たちのこと思い出してください。……いや、もっとちゃんと言うなら、一生“一緒に”生きてください」(昴)

この日、何度“一緒に”という言葉を耳にしただろう。それほどまでに、Royzの音楽人生における伴侶との絆を固めるタームが14周年の最後だったとするならば、1ヵ月後の9月28日になんばHatchにて控えているRoyz 15th Anniversary ONEMAN LIVE『「15th FIRST LIVE」-星に誓いを-』から始まる15周年はどんなドラマが待っているのだろう? 昴の表現を借りるならば、星に“願う”だけだったチビッ子たちは今、“決意と誓い”を掲げている。今はただ、これまでの軌跡を経て超越した領域にいるRoyzの行く末が明るい……いや、眩しいくらいに未知な可能性を秘めていることに、胸が高まるばかりだ。

レポート・文◎平井綾子

写真◎Kyoka Uemizo

【セットリスト】

1. VENOM

2. PANDEMIC

3. Foxy

4. Killing Joke

5. 13th Merry-Go-Round

6. Satisfy

7. クロアゲハ

8. 丸の内ミゼラブル

9. 紫苑

10. 月光

11. AMON

12. キュートアグレッション

13. 阿修羅

14. Jack the Ripper

15. RAIZIN

EN1. 21st Century

EN2. SOUTHERN X -サザンクロス-

EN3. 0

EN4. GIANT KILLER

【リリース情報】

Royz THE BEST 2019-2024

2024年10月30日(水) 2タイプ同時発売

■Atype【初回限定盤】CD1枚+DVD1枚組

¥6,600円(税抜価格6,000円)/BPRVD-499

特別パッケージ+ブックレット

JAN:4582281549974

[DVD]

MUSIC VIDEO COLLECTION

1.IGNITE

2.I AM WHAT I AM

3.DAYDREAM

4.IN THE STORM

5.LEON

6.Eva

7.KAMIKAZE

8.カルマ

9.RAIZIN

10.AMON

11.GIANT KILLER

12.VENOM

[CD]

[DISC:1]12曲  

1.IGNITE(Re-Recording)

2.I AM WHAT I AM(Re-Recording)

3.DAYDREAM(Re-Mix)

4.IN THE STORM(Re-Mix)

5.LEON(Re-Mix)

6.Eva(Re-Mix)

7.KAMIKAZE(Re-Mix)

8.カルマ(Re-Mix)

9.RAIZIN(Re-Mix)

10.AMON(Re-Mix)

11.GIANT KILLER

12.VENOM

■Btype【通常盤】CD1枚 

¥3,850円(税抜価格3,500円)/BPRVD-500

JAN:4582281540087

[CD]

[DISC:1]14曲  

1.IGNITE(Re-Recording)

2.I AM WHAT I AM(Re-Recording)

3.DAYDREAM(Re-Mix)

4.IN THE STORM(Re-Mix)

5.LEON(Re-Mix)

6.Eva(Re-Mix)

7.KAMIKAZE(Re-Mix)

8.カルマ(Re-Mix)

9.RAIZIN(Re-Mix)

10.AMON(Re-Mix)

11.GIANT KILLER

12.VENOM

13.蒼蓮花(Re-Recording)

14.Aerial cord(Re-Recording)

・Btype【通常盤】のみ「蒼蓮花」 (Re-Recording)、「Aerial cord」 (Re-Recording)をボーナストラックとして収録

【LIVE情報】

Royz BEST ALBUM TOUR 「TRACKS #2」

2024年

11月12日(火)【滋賀】滋賀U★STONE

11月14日(木)【兵庫】神戸VARIT.

11月16日(土)【岡山】岡山IMAGE

11月17日(日)【岡山】岡山IMAGE

11月19日(火)【香川】高松DIME

11月22日(金)【福岡】福岡DRUM Be-1

11月23日(土)【福岡】福岡DRUM Be-1

11月26日(火)【広島】広島SECOND CRUTCH

11月29日(金)【大阪】ESAKA MUSE

11月30日(土)【大阪】ESAKA MUSE

12月06日(金)【愛知】名古屋E.L.L.

12月07日(土)【愛知】名古屋E.L.L.

12月14日(土)【宮城】仙台darwin

12月15日(日)【宮城】仙台darwin

12月21日(土)【埼玉】HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3

12月22日(日)【千葉】柏PALOOZA

-TOUR FINAL-

2025年1月16日【神奈川】川崎CLUB CITTA′

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Royz ONEMAN LIVE 「昴生誕祭~スバフェス2025 -西ノ乱-~」

2025年2月12日【大阪】大阪BIGCAT

【開場/開演】16:00/17:00

※後日詳細解禁

Royz ONEMAN LIVE 「昴生誕祭~スバフェス2025 -東ノ乱-~」

2025年2月14日【神奈川】川崎CLUB CITTA′

【開場/開演】16:00/17:00

※後日詳細解禁

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