20代の看護師に文句ばかり言う入院中の父と、心配する母の傍らで
現役証券マンにして作家の町田哲也氏が、実体験をもとにつづるノンフィクション・ノベル『家族をさがす旅』。2度の手術を乗り越え入院中の78歳の父は、20代のころ岩波映画でカメラマンとして働いたものの挫折、その後は工場勤務などを経てパン屋を開業した。若き日の父の姿を知りたいと、息子の「ぼく」は父のかつての知人を訪ね歩いているが、まだその輪郭はおぼろげなままだ。一方で、リハビリに臨む父の記憶は、明らかに衰え始めていた。