【著者は語る】工藤律子氏「マラス 暴力に支配される少年たち」
私は昨年10月にメキシコから帰国しましたが、日本の自動車産業がメキシコに北米向けの自動車供給の一大拠点を築いている現実を見てきました。「麻薬戦争」に揺れるメキシコで、です。地理的条件と、良質な労働力を低賃金で雇えるというメリットが、治安を上回る魅力となったのでしょう。おかげで、通貨が下落し苦しい生活が続く庶民を尻目に、外資系自動車産業だけは好景気。そんなラテンアメリカの経済と社会の歪(ゆが)みが、貧困層の子供たちを麻薬カルテルやギャング団へと向かわせているのです。